IUCN(あいゆーしーえぬ)
International Union for Conservation of Nature and Natural Resources の略称、「国際自然保護連合」のこと。1948年に各国政府、国際団体、民間自然保護団体によって設立された非政府国際機関で、各国から推薦された自然遺産の調査や評価を行っている。

 ICCROM(いくろむ)
International Centre for the Study of the Preservation and Restoration of Cultural Propertyの略称、「文化財保存修復研究国際センター」のこと。1959年に発足した文化財保存に関する政府間機関で、学術的・技術的問題の研究助言を行い、専門家の育成と修復技術の向上を目指している。

 ICOMOS(いこもす)
International Council of Monuments and Sitesの略称、「国際記念物遺跡会議」のこと。1965年に発足した遺跡や建造物の保存を目的とする世界規模の非政府組織(NPO)で、各国から推薦された文化遺産の調査や評価を行っている。


   
 核心地域(かくしんちいき)
文化遺産および自然遺産を構成する資産(Property)のこと、コアゾーンとも言われていたが、2008年開催された第32回世界遺産委員会で、コアゾーンとバッファーゾーンいう呼称があると、一つの遺産の中に二つのゾーンがあると受け取られるおそれがあるため、核心地域という呼称は資産(Property)という呼称に改められた。

 緩衝地帯(かんしょうちたい)
登録資産を保護するためにその周囲に設けられる利用制限区域のことで、厳密には遺産の一部ではなく「顕著で普遍的な価値」は有しない。バッファゾーン(Buffer Zone)ともいわれている。
世界遺産への推薦に際しては、資産(Property)の周辺に遺産を守るのに充分な緩衝地帯(バッファゾーン)を設けることが求められる。

 完全性(かんぜんせい)
Integrity(インテグリティ)の和訳。遺産が無傷であるかどうかの尺度、「顕著な普遍的価値」を構成する必要な要素がすべて含まれていること、長期的な保護のための法律等の制度が確保されていることなどが求められる。
世界遺産に推薦される文化遺産ならびに自然遺産は、完全性の条件を満たさなくてはならない。

 危機遺産(ききいさん)
武力紛争や自然災害、大規模工事、都市・観光開発、密猟などによって危機に瀕している世界遺産のこと。重大な危機に直面している遺産については「危機にさらされている世界遺産リスト」に登録され、保護、修復の対象になる。代表的なものに「エルサレムの旧市街とその城壁(ヨルダン・ハシミテ王国)」、「バーミヤン渓谷の遺跡群(アフガニスタン)」などがある。
登録されている危機遺産は、2011年7月現在、35件。

 危機遺産リスト(ききいさんりすと)
重大な危機に直面している世界遺産(危機遺産)を保護、修復の対象にするために登録するリスト。「文化遺産」、「自然遺産」それぞれに登録基準が決まっている。危機遺産は、2011年7月現在、35件がリストに登録されている。

 グローバル・ストラテジー(Global Strategy )
世界遺産リストの不均衡を是正するため、世界各地の文化や自然の多様性を反映するようにした選考基準のこと。具体的には、(1)地理的拡大、(2)文化的景観、(3)産業遺産、(4)先史時代の遺産、(5)近・現代建築 が選考にあたって重視されるようになった。

 コアゾーン(Core Zone)
文化遺産および自然遺産を構成する資産(Property)のこと、核心地域ともいわれていたが、2008年開催された第32回世界遺産委員会で、コアゾーンとバッファーゾーンいう呼称があると、一つの遺産の中に二つのゾーンがあると受け取られるおそれがあるため、コアゾーンは資産(Property)という呼称に改められた。

 国際記念物遺跡会議(こくさいきねんぶついせきかいぎ)
International Council of Monuments and Sitesの略称、ICMOS(いこもす)ともいわれている。1965年発足した遺跡や建造物の保存を目的とする世界規模の非政府組織(NPO)で、各国から推薦された文化遺産の調査や評価を行っている。

 国際自然保護連合(こくさいしぜんほごれんごう)
International Union for Conservation of Nature and Natural Resources の略称、IUCN(あいゆーしーえぬ)ともいわれている。1948年、各国政府、国際団体、民間自然保護団体によって設立された非政府国際機関で、各国から推薦された自然遺産の調査や評価を行っている。


   
 産業遺産(さんぎょういさん)
産業の近代化に貢献した遺産、通常は産業革命以後のものをさす。代表的なものに「エンゲルスベリ製鉄所(スウェーデン)」「ダージリン・ヒマラヤ鉄道(インド)」などがある。
日本には「石見銀山遺跡とその文化的景観」や暫定リストに記載された「富岡製糸場と絹産業遺産群」、「九州・山口の近代化産業遺産群」がある。

 暫定リスト(ざんていりすと)
各国が5〜10年以内に世界遺産への登録を目指す物件として各国が世界遺産センターに提出するリスト。世界遺産に登録するためには、改めて推薦書を提出し審査を求める。

日本の場合、2011年6月現在、次の12物件を暫定リストとして世界遺産センターに提出している。
( 1)鎌倉の社寺ほか(神奈川県)
( 2)彦根城(滋賀県)
( 3)富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県)
( 4)富士山(静岡県、山梨県)
( 5)飛鳥・藤原の宮都と関連資産群(奈良県)
( 6)長崎の教会群とキリスと教関連遺産(長崎県)
( 7)国立西洋美術館・本館(東京都)
(8)北海道・北東北の縄文遺跡群(北海道、青森県、岩手県、秋田県)
(9)宗像・沖ノ島と関連遺産群(福岡県)
(10)九州・山口の近代化産業遺産群(山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島県)
(11)金を中心とする佐渡鉱山の遺産群(新潟県)
(12)百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群(大阪府)

 資産(しさん)
Property(プロパティ)の和訳。文化遺産および自然遺産を構成する資産、これまでのコアゾーンという呼称が改められたもの。文化遺産の場合は個別の文化財や遺跡、自然遺産の場合は公園保護区や生態系保護区をさす。
2008年開催された第32回世界遺産委員会で、コアゾーンとバッファーゾーンいう呼称があると、一つの遺産の中に二つのゾーンがあると受け取られるおそれがあるため、コアゾーンという呼称は資産(Property)に改められた。

 自然遺産(しぜんいさん)
顕著な普遍的な価値を有する地形や地質、生態系、景観、絶滅のおそれのある動植物の生息地などを含む地域のこと。代表的なものに「グレート・バリア・リーフ(オーストラリア)」「グランド・キャニオン国立公園(アメリカ)」「ガラパゴス諸島(エクアドル)」などがある。
登録されている自然遺産は、2011年7月現在、183件。

 自然環境保全法(しぜんかんきょうほぜんほう)
自然環境の保全を図るための基本方針や、特に自然環境を保全することが必要な地域(原生自然環境保全地域、自然環境保全地域など)について定めた法律(環境省所管)。

 自然公園法(しぜんこうえんほう)
すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、国民の保健、休養、教化に資することを目的として、国立公園や国定公園などの自然公園について定めた法律(環境省所管)。

 シリアル・ノミネーション(Serial Nomination)
文化や歴史的背景、自然環境が共通する物件を複合体として一つの物件で登録すること。
代表的なものとしては「ロワール渓谷(フランス)」、もともとは「シャンボールの城と領地」として登録されていたが、登録範囲が拡大されロワール川流域に広がる渓谷と130以上の城館が複合体として一つの物件で登録された。

 真正性(しんせいせい)|真実性(しんじつせい)
Authenticity(オーセンティシティ)の和訳。建造物や遺跡などの文化遺産が本物の芸術的、歴史的価値を保っているかどうか(本物かどうか)の尺度、建造物の修復などにおいては材料・構造・工法の真実性が求められる。
世界遺産に推薦される文化遺産は、真実性の条件を満たさなくてはならない。

 生物圏保護区(せいぶつけんほごく)
Biosphere Reserve(バイオスフィア・リザーブ)の和訳。保護区内に資産(プロパティ)、それを取り巻く緩衝地帯(バファーゾーン)、その周辺の活動許可が得られる地域(トランジェションエリア)という3段階の地域を設け、自然を合理的に保護していこうとする考えに基づく保護区。

 世界遺産(せかいいさん)

世界遺産条約に基づいて世界遺産リストに登録された「歴史、芸術、学術、景観に関わる顕著な普遍的な価値をもつ人類共通のかけがえのない資産」のこと。条件を満たさなくなった場合は登録が抹消されることがある。2007年にはアラビアオリックスの保護区(オマーン)、2009年にはドレスデン・エルベ渓谷(ドイツ)が抹消された。
2011年7月現在、936件(文化遺産725件、自然遺産183件、文化と自然の両方の価値を持つ複合遺産28件)が登録されている。世界遺産保有国は153か国。日本からは16件(文化遺産12件、自然遺産4件)が登録されている。

 世界遺産委員会(せかいいさんいいんかい)
原則として毎年1回開催され、世界遺産の登録の可否、危機遺産リストの登録・削除や遺産のモニタリングや技術支援、世界遺産基金の運用などを審議する。
世界遺産委員会は、世界遺産条約を締結した国から選出された21ヵ国によって構成、21ヵ国の任期は6年間、3分の1の7ヵ国は2年に1回開催されるユネスコ総会で改選される。

 世界遺産基金(せかいいさんききん)
ユネスコ世界遺産基金(Word Heritage Fund)の略、世界遺産リストに登録された遺産を保護するためにユネスコの信託基金として設立された基金。財源は、条約締約国に義務付けられた分担金と、個人や団体、法人からの寄付金で、世界遺産委員会が管理している。

 世界遺産リスト(せかいいさんりすと)
世界遺産に登録された物件のリスト。世界遺産への登録は、毎年1回開催される世界遺産委員会で審議される。

 世界遺産条約(せかいいさんじょうやく)
1972年ユネスコ総会で採択され、1975年に発効した「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」。「文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷、破壊等の脅威から保護し、保存することが重要との観点から、国際的な協力及び援助の体制を確立すること」を定めている。
2011年11月現在、世界遺産条約の締約国は195か国。日本は1992年、125番目の締約国になった。

世界遺産条約は、エジプトのナイル川のアスワン・ハイ・ダムの建設計画により水没の危機にさらされたアブシンベル神殿などのヌビア遺跡群の救済を、ユネスコが世界に呼びかけ、多くの国々の協力で移築し保護したことを契機に誕生した。

 世界遺産センター(せかいいさんせんたー)
ユネスコ世界遺産センター(World Heritage Center)の略、世界遺産委員会の事務局。世界遺産委員会の運営、締約国への登録準備のアドバイス、各国から提出された暫定リストや推薦書の受理、情報公開や世界遺産のデータベース化などを行なう。

 世界記憶遺産(せかいきおくいさん)

ユネスコ世界記録遺産国際諮問委員会によって、人類が長い間記憶して後世に伝える価値があるとされる楽譜、書物などの記録物を対象に登録されるもの。「世界の記憶」「世界記録遺産」とも呼ばれている。世界記憶遺産は、世界遺産とは異なり、自治体や団体でも登録申請できる。審査は2年に1度行われる。
2011年5月現在、フランスの「人権宣言」、オランダの「アンネの日記」、ドイツの詩人ゲーテ直筆の作品や日記など268件が登録されている。日本からは「山本作兵衛が描いた筑豊炭田の記録画など697点」が初めて登録された。

 世界ジオパーク(せかいじおぱーく)
世界ジオパークネットワーク (GGN)が認定する「ジオパーク(大地の公園)」のこと。世界遺産の地質版とされ「地質遺産」と訳されることがあるが誤訳。ユネスコの支援により2004年、世界ジオパークネットワーク (GGN) が設立され、ジオパークを審査して認定する仕組みが作られた。ジオパークとは、 地球活動の遺産を主な見所とする自然と親しむための公園。世界遺産は保護を目的とするためその地域の開発を禁止しているのに対し、ジオパークはその地域の振興のための開発を認めている。
2010年3月現在、ヨーロッパで35地域、アジアで27地域、オセアニアでは地域、南米で1地域の合計64地域が認定されている。日本からは2011年9月現在、洞爺湖有珠山(北海道)、糸魚川(新潟県)、島原半島(長崎県)、山陰海岸(京都府、兵庫県、鳥取県)、室戸(高知県)の5地域が認定されている。

 世界農業遺産(せかいのうぎょういさん)
国連食糧農業機関(FAO)が認定する「世界重要農業資産システム(GIAHS)」のこと。2002年、地域環境を生かした伝統的農法や、生物多様性が守られた土地利用のシステムを保全し次世代に継承する目的で創設された。通称「世界農業遺産」と呼ばれている。
2011年6月現在、アンデス農業(ペルー)、イフガオの棚田(フィリピン)、マサイ族の放牧(ケニア)、万年の伝統稲作(中国)など12地域が認定されている。日本からは2011年6月、先進国で初めて、トキと共生する佐渡の里山(新潟県)、能登の里山里海(石川県)の2地域が認定された。

 世界無形文化遺産(せかいむけいぶんかいさん)
2003年のユネスコ総会で採択され、2006年に発効した「無形文化遺産保護条約(無形文化遺産の保護に関する条約)」に基づいて保護されている無形文化遺産(Intangible Cultural Heritage)。俗称で「世界無形文化遺産」とも呼ばれているが、世界を冠しない「無形文化遺産」が正式名称。→詳しくは無形文化遺産参照


   
 登録手続き(とうろくてつづき)
政府が世界遺産候補を「暫定リスト」として世界遺産センターに提出。暫定リストに記載された物件のうち、物件の保護措置など条件が整ったものについて、推薦書を世界遺産センターに提出する。
ユネスコ世界遺産センターは、文化遺産についてはICMOS(国際記念物遺跡会議)に、自然遺産についてはIUCN(国際自然保護連合)に現地調査を依頼。毎年開かれる世界遺産委員会で登録の可否が決定される。

 登録基準(とうろくきじゅん)
世界遺産に登録されるための基準、登録されるためにはいずれか一つ以上の基準にあてはまらなくてはならない。2007年以降は文化遺産の6基準、自然遺産の4基準を統合した次の新基準(10基準)になった。旧基準で登録されている物件については対応する新基準の表記に変更される。
(i) 人類の創造的才能を表す傑作である。
(ii) 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
(iii) 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも稀有な存在)である。
(iv) 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
(v) あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存在が危ぶまれているもの)。
(vi) 顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
(vii) 最上級の自然現象、又は類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
(viii) 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
(ix) 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
(x) 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅の恐れのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然生息地を包含する。

登録基準はさまざまな訳文がありますので、
本サイトでは世界遺産と無形文化財 (文化遺産オンライン-文化庁)より引用させていただきました。

 登録物件(とうろくぶっけん)
世界遺産リストに登録されている物件、2011年7月現在、936件(文化遺産725件、自然遺産183件、複合遺産28件)。

 トランスバウンダリー・サイト(Trans-boundary Site)
文化や歴史的背景、自然環境が共通する物件を一つの物件として登録するシリアル・シリアルノミネーションにおいて、それらが国境を越えて登録されている物件のこと。
代表的なものとしては「ベルギーとフランスの鐘楼群」、もともとは「ベルギーの鐘楼群」として登録されていたが、その後フランス北部の鐘楼群も含め国境を越えて登録されトランスバウンダリー・サイトとなった。


   
 人間と生物圏計画(にんげんとせいぶつけんけいかく)
Man and the Biosphere Programme の略称、ユネスコ自然科学局の中の政府間国際事業の一つで、1971年から開始。MAB計画ともいわれている。生物圏における自然資源の保全・有効活用および環境の保護に関する諸問題の解決に資することを目的に、研究・研修・知識普及を国際的に実施するもの。MAB計画に基づいて「生物圏保護区」が設けられている。


   
 ハーグ条約(はーぐじょうやく)
国際紛争や内戦から文化財を守ることを定めた「武力紛争の際の文化財の保護のための条約」、オランダのハーグで採択されたことから「ハーグ条約」ともいわれている。締約国には、武力紛争時に文化財を攻撃対象としないことや国外への流失を防ぐことなどが義務付けられる。
1954年ユネスコ総会で採択、1956年発効した。日本は2007年12月、118ヵ国目の締約国となった。2008年9
月現在、締約国は121ヵ国(アメリカ、イギリス、北朝鮮などは未締結)。

 バッファゾーン(buffer zone)
遺産を保護するためにその周囲に設けられる利用制限区域のことで、厳密には遺産の一部ではなく「顕著な普遍的な価値」は有しない。「緩衝地帯」ともいわれている。
世界遺産への推薦に際しては、資産(Property)の周辺に遺産を守るのに充分な緩衝地帯(バッファゾーン)を設けることが求められる。

 負の遺産(ふのいさん)
人類の「負」の行為を記憶にとどめるため、二度と同じ過ちを繰り返さないよう登録されている遺産の総称。世界遺産条約で定義されてはいない。広島平和記念碑(日本)、アウシュヴィッツ強制収容所(ポーランド)、ゴレ島(セネガル)、ロベン島(南アフリカ)などがある。
広島平和記念碑(原爆ドーム)の登録にあたっては、アメリカは「戦争関連施設は遺産リストに含めるべきでない」として反対、中国は「第二次世界大戦での日本の戦争責任」に触れ賛否を保留した。

 複合遺産(ふくごういさん)
「文化遺産」と「自然遺産」の両方の価値を持つ遺産。代表的なものに「マチュ・ピチュ(ペルー)」「ウルル・カタ・ジュ国立公園(オーストラリア)」などがある。
登録されている複合遺産は、2011年7月現在、28件。

 武力紛争の際の文化財保護に関する条約(ぶりょくふんそうのさいのぶんかざいほごにかんするじょうやく)
国際紛争や内戦から文化財を守ることを定めた条約、オランダのハーグで採択されたことから通称「ハーグ条約」。締約国には、武力紛争時に文化財を攻撃対象としないことや国外への流失を防ぐことなどが義務付けられる。
1954年ユネスコ総会で採択、1956年発効した。日本は2007年12月、118ヵ国目の締約国となった。2008年9
月現在、締約国は121ヵ国(アメリカ、イギリス、北朝鮮などは未締結)。

 文化遺産(ぶんかいさん)
顕著な普遍的な価値を有する記念工作物、建造物群、遺跡、文化的景観などのこと。代表的なものに「万里の長城(中国)」「メンフィスのピラミッド群(エジプト)」などがある。
登録されている文化遺産は、2011年7月現在、725件。

 文化財保護法(ぶんかざいほごほう)
文化財を保護し、その活用をはかって国民の文化的向上に資するための法律(文部科学省所管)。1950年制定の制定により、それまでの国宝保存法、史跡名勝天然記念物保存法などは吸収され廃止となった。

 文化財保存修復研究国際センター(ぶんかざいほぞんしゅうふくけんきゅうこくさいせんたー)
International Centre for theStudy of the Preservation and Restoration of Cultural Propertyの略称、ICCROM(いくろむ)ともいわれている。1959年に発足した文化財保存に関する政府間機関、学術的・技術的問題の研究助言を行い、専門家の育成と修復技術の向上を目指している。

 文化的景観(ぶんかてきけいかん)
人間が自然に働きかけて作り出した景観のこと、人間と自然の共同作品。1992年に開催された第16回世界遺産委員会で文化遺産の概念の一つに組み込まれた。


   
 無形文化遺産(むけいぶんかいさん)
2003年のユネスコ総会で採択され、2006年に発効した「無形文化遺産保護条約(無形文化遺産の保護に関する条約)」に基づいて保護されている無形文化遺産(Intangible Cultural Heritage)。俗称で「世界無形文化遺産」とも呼ばれているが、世界を冠しない「無形文化遺産」が正式名称。無形文化遺産とは、人びとの慣習・描写・表現・知識及び技術並びにそれらに関連する器具、物品、加工品及び文化的空間のこと。建造物など形があるもの(不動産)である世界遺産に対し、無形文化遺産は形にならない人間が持つ知恵や習慣などが対象になる。
各締約国から提出される個別提案案件を政府間委員会が決定し、危機一覧表(緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表)と、代表一覧表(人類の無形文化遺産の代表的な一覧表)に記載される。世界遺産を審議決定する際のような厳格な価値の評価基準はない。
日本からは2011年11月現在、能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎、雅楽、小千谷縮・越後上布(新潟県)、石州半紙(島根県)、日立風流物(茨城県)、京都祇園祭の山鉾行事(京都府)など20件が登録されている。

なお、2003年に先立つ1998年「人類の口承および無形遺産の傑作の宣言」が採択され、「人類の口承及び無形遺産の傑作」が選出されている。「人類の口承及び無形遺産の傑作」として選出されているのは、2005年11月現在、日本の「能楽」「人形浄瑠璃」「歌舞伎」をはじめ90件。これらは「無形文化遺産保護条約」が発効した時点で「無形文化遺産」として登録されることになっている(2008年11月一覧表に統合された)。


   
 ユネスコ(UNESCO)
United Nations Educational, Scientific and Cultural Organizationを略してUNESCO、「 国際連合教育科学文化機関」のこと。1945年に創設された国際連合の専門機関で、教育、科学、文化を通して国際協力を促進し、世界の平和と人類の福祉に寄与することを目的としている。
加盟国は2007年5月現在、192ヵ国。日本は1951年、60ヵ国目の加盟国になった。

 ユネスコ憲章(ゆねすこけんしょう)
国際連合教育科学文化機関憲章の略。1942年、ロンドンで開催された連合国文部大臣会議で教育・文化に関する国際機関の設立が検討され、1945年11月連合国教育文化会議で44カ国代表により採択された。
ユネスコ憲章前文には「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という当時のアトリー英首相が演説の中で述べた有名な語句がある。この言葉には「戦争を繰り返さないため、世界の各国は互いをよく知る必要がある」との反省が込められている。

ユネスコ憲章(前文)
戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。
相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。
ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代りに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。
文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、且つすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果さなければならない神聖な義務である。
政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。
これらの理由によって、この憲章の当事国は、すべての人に教育の充分で平等な機会が与えられ、客観的真理が拘束を受けずに探究され、且つ、思想と知識が自由に交換されるべきことを信じて、その国民の間における伝達の方法を発展させ及び増加させること並びに相互に理解し及び相互の生活を一層真実に一層完全に知るためにこの伝達の方法を用いることに一致し及び決意している。
その結果、当事国は、世界の諸人民の教育、科学及び文化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、且つその憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設する。

 ユネスコ総会(ゆねすこそうかい)
ユネスコ加盟国の代表によって構成されるユネスコの最高決議機関。通常2年に1回開催され、ユネスコの施策と事業方針案、予算案を審議し採択する。


参考文献:世界遺産年報2009、世界遺産学検定 公式テキストブック


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